F I (エフアイ)個人レッスン
平日、土日祝日ともに予約制で行っています。 但し、水、木、金は定休日です。 予約時間: 午前10時〜午後6時半 レッスン時間: 60分 料金: 一般8000円 (会員7000円) 会場: フェルデンクライス名古屋 ワークルーム |
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F I Functional Integration (機能の統合)について
創始者フェルデンクライス博士が初めに行ったのが一対一のFIでした。グループレッスンのATMは後から作られましたが、ともに共通する学習理論で成り立っています。 FI(エフアイ)の「F」(Function)は「機能」の意味で、「I」(Integration)は「統合」です。 「機能」の「統合」とは、限られた部分だけでなく、からだ全体をまんべんなく使える能力を開発するということです。 具体的に言うと、腰痛をおこす人は、腰椎の4番5番あたりに強い負荷をかけ続けるような姿勢のパターンを持っていることが多く、本人がそれに気づいて、そのパターンを使うのを控え、負荷を全体的に分散させる姿勢(背骨や骨盤をゆるめてバランス良く使う)が作れるようになれば、痛みは軽減され(どの程度ダメージを受けているかによっても個人差が出ます)、やがてもともと備わっているからだの治癒力が働きだして、痛みの消えていくことが多いのです。 当面、痛みのある部分に治療的な処置をするだけでも、症状は治まるかもしれませんが、いずれまた問題が出てきます。 からだを動かしている脳と神経系のシステムに働きかけて、問題をおこす動きのパターンそのものを改善していく(動きの再学習)ことに、フェルデンクライスメソッドの「気づき」と「学び」の意味と価値があります。 |
共通の学習理論で成り立っているATMとFIですが、大きな違いは、ATMは、より効率のいい(痛みを招いたりしない)からだの使い方を、「言葉の指示」を手がかりに、「自分で動きながら」
探していくアプローチであるのに対して、FIでは、「言葉を介さない」で、「プラクティショナーが直接受け手のからだにタッチして」、よりダイレクトに、効率のいい動きの情報を脳に伝えていくことです。 言葉を介さないで働きかけられれば、言葉では伝えるのが難しい微妙なからだの感覚を、より具体的に伝えやすくなります。この点でのFIの効果は強力です。 分かり難い言い方かもしれませんが、FIでは自分がこれまで所有してきたからだの概念の枠(それ自体が痛みを招いていることが多い)を超えた感覚体験(気づき)が、起こりやすくなります。 もちろんATMでも、自分で動くときの感覚が育ってくれば、深い気づきがおこりますし、最終的には自分でそこに行けるようにならなければ、自立できないと思います。 ただし、既にからだに痛みを抱えている(これまで使ってきた体のバランス感覚がブレている可能性が大きい)人が、自分で動くアプローチのみで、深い気づきと学びを手に入れるには、かなりの時間と努力が必要です。 お断りしておきますが、ここに書いているのは、あくまでも私の個人的な体験から感じ考えてきたことで、フェルデンクライスメソッドの統一見解ではありません。 「気づき」の例として、私がまだトレーニングに参加していたときに、FIを受けて体験したことを書いてみます。 |
横になっていて、最後に起き上がったとき、自分のからだが、いつもに比べ、かなり前のめりで立っているような感じになっていたので、とても驚いた。 何も考えないで立ち上がったら、そうなってしまったのだ。 からだは、しかし倒れそうではなく、安定して立っている。 どう受け止めていいのか分からない、これまでに体験したことのない感覚だったので、思わずその時、私にFIをしてくれたトレーナーのジェリーさん(Jerry Karzen : フェルデンクライス博士の行った、アメリカで最後のトレーニングコースを運営した人)に、聞いてしまった。 「私は今、まっすぐに立っているのですか?」 彼は、微笑みながら「イエス」と答えた。 すぐには信じられない私は、 「それでは、これがニュートラル(中立の状態)なのですか?」 と重ねて聞いた。 彼は、うなずいた。 その時初めて、私が「まっすぐ」と信じて、これまで何十年も疑ったことのない直立の感覚が、実は違っていた事に気づいたのだった。 |
後に自分がFIをする立場になって、過去の私のように、垂直(鉛直)からブレた状態を、「まっすぐ」と信じ込んで、傾いたからだを無意識に頑張って支えて、からだの疲労や痛みを作り出している人が、非常に多いことに気づきました。 もし、これが正しい姿勢だと確信していても、その姿勢ですぐに疲れてしまったり、結構がんばらないと維持できなかったり、あるいは常にどこかが固まっていると感じたり、痛みの出やすい体だと思っている人は、自分の信じてきた「まっすぐ」が、実は間違っていて、そのことが痛みと関係しているかもしれないと、一度考えてみた方が良いでしょう。 そして、そんな人にはぜひ、 F I をお勧めします。 その方が、感覚のブレにも早く気づきます。ニュートラルが感じ取れるようになると、体の負担が軽くなって、回復力が甦り、痛みも遠のいていきます。 ただし F I は、痛みを取るための「治療」ではありません。 ATMと同じく、自分を再教育していくための、からだを通した「学び」です。 ずっと前に、ミア・シーガルさん(Mia Segal : フェルデンクライス博士のNO.1アシスタントで、博士の信頼の厚かった人。指導者としても別格で、信じられないくらいの素晴らしいFIを、これまでに何度も見せてくれました。正にゴッドハンド)が言われたことを、今もはっきり覚えています。 「痛みのある人が来たら、まずは痛みが消えるように働きかけてあげなさい」 「痛みのあるときには、学ぶことができません」 「痛みが無くなったときから、本当の学びのレッスンが始まるのです」 「そのことは事前によく話しておきなさい」 これは、自己紹介のところで私が書いた、痛みから学ぶということと相反するようですが、痛みを感じて、からだが極度に緊張し、固まっている状態では、学びようがないのも事実です。 私が痛みから学べたのは、長くフェルデンクライスを続けて体がゆるみ、内部を感じながら骨盤や背骨を微妙に操作することが、痛みがあっても、ある程度可能になったからだと思います。 痛みが無くなってから、本当の学びのレッスンが始まると話しても、実際には、痛みが消えると来なくなってしまう人が多いのも事実です。当人は治ったから行く必要はない、と考えているのでしょうか? その時点では、痛みを作り出していたストレスが緩和されただけで、問題が解決した訳ではありません。いずれまた何らかのかたちで、トラブルの出てくる可能性が高いです。 |
最後に、FIに関して興味のある人に、お勧めの本があります。 タイトルは「脳の迷路の冒険」 モーシェ・フェルデンクライス著、安井武訳、壮神社刊 しかし、残念ながら絶版になっていて、手に入れるのは難しいです。 図書館で探すのが一番いいかもしれません。 もし英語に自信のある人なら、「The Case of Nora 」で検索すれば、アマゾンで安価に手に入ります。 ちなみに、日本語版の表紙の帯には、こんなことが書いてあります。 |
知的で活動的な60代の女性ノーラは、ある日突然、読み書きはもとより、自分で靴をはくことすらできなくなった。 フェルデンクライスは細心の注意を払って治療に取り組む。 ・・・・・そして、ノーラは数か月で見事に通常の能力を取り戻す。 なぜ・いかにしてその能力が甦ったのか? 人類に残された最後の未知の領域 ーーー 脳のジャングルに踏み込む旅、心と体の間に横たわる複雑な領域への冒険のすべてが物語られる。 ここにフェルデンクライスの革新的な技法と身体意識理論(ボディアウエアネス)の核心が明かされる。 |
この本の出版は1991年ですが、読んだ人から、日本で F I を受けられないのかという問い合わせが、いくつも来たという話を、ずっと前に、訳者の安井さんから聞いたことがあります。 |